君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
茜は、男として生きることを、決意したんだ。
あの、決別の日に。
そうして今までずっと生きてきた。
おれの隣で、「親友」として、ずっと生きてきていたんだ。なのになんで。
「なんでお前が、ぶちこわすんだ!」
それは叫びだった。
怒りなのか焦燥なのか、悲しみなのか。
もうなんだか分からないほどに、頭も身体もヒートアップしているような気がしてしょうがない。
なんで、タケはこんなまっすぐに茜を「好き」だといえるのだろう。それがひどく悔しかった。うらやましかった。