君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
吐き捨てるように言い捨てれば、彼女は傷ついた表情をみせる。
ああいやだな。すごくいらいらする。
「あんたはさ、創の何を知ってんの?
茜の何を知ってるって思って、それを言ってるの?」
何が茜のためだなんて、俺にはもうよく分からなかった。
ただ、創じゃ、茜を傷つけることしか出来ないと思ったんだ。
それが、願望からの幻想だとしても、それでも。
茜が幸せなら、相手は創でもいいとも思ったあのころの気持ちも本物だった。
でも、今はもう。無理なんだ。その相手は、俺じゃなきゃ、俺は嫌だ。
「……じゃあ、あなたは創くんの何を知ってるって言うの」