君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
俺を睨みつけるように見つめてきた少女の瞳に圧されるように、俺は「知りたくもないよ」と口走っていた。
「創は、不器用だけど、すごく優しいの!
だから……っ、一番大切な人に上手く伝えれないだけで、きっと創は茜くんのこと好き、なんだと思うの。
同性だとかそんなこと関係なくて、好きなんだと思う。
そこにもしかしたら戸惑いを感じていて、自分の気持ちを押し隠そうと思ってるのかもしれないけど……。
だから余計、おんなじ男のタケくんが茜くんに近づいたら、創は苦しんだよ」
「―――あんた、自分の彼氏がホモでもいいんだ?」
この子は、茜の秘密を知らないんだなと思いながら、俺の表情は勝手に嘲る色を含んだものになっていた。