君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
禍根
ファミレスを出てそのまま家に戻る気にはなれなくて、俺はまた電車に乗った。たった2駅だ。
それだけで、俺は茜のもとへと行けてしまった。
いつも降り立つ地元の駅に比べ、快速が止まらないこの駅は少しがらんとしていて。あの日、茜に肩を支えられながら歩いた感覚が波のように押し寄せてきたようなぐるぐるとした感情を抱いたまま、俺は茜の家へと足を向けた。
出てくれなければいいと思う。
そうすれば、俺はきっと今日、茜を傷つけない。