君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

「だって、俺茜が好きだから」

「俺は、お前が求めるような『女』じゃない。お前がなんと思うと勝手だけどな、俺は男だよ」

「――――俺は、茜が好きなんだ」


 茜は呆れたようにため息をついて、そのまま俺に近づいてくる。
 
 そしてこつんと、俺のおでこを叩いた。
 くしゃりと流れで前髪を撫でる茜の指先は、ひどく冷たくて。


「俺はホモになるつもりもないし、かといって、タケ。お前が望むようなものになるつもりもないんだ」

「でも、茜は女の子じゃないか。なのになんでっ……」

「タケ、」

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