君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
無意識にか答えを避けた茜に、たたむように問いかければ、茜は吐き捨てるように小さくそう言った。
指先だけはもてあそぶように俺の髪の毛を触ったまま、視線を外した茜の細い手に触れると、茜は小さく身体を反応させた。
額からその手を外して、そのまま頬に沿わせるようにずらして、一度小さく口付ける。
上目遣いに茜を見れば、茜は俺の口元とそこにある自分の指先を凝視していて。
にこと笑って見せれば、茜は瞬時に顔を赤く染めた。
「ねぇ、茜。創は茜の親友だって、そうとしか言わないんでしょ」
「……手、離せよ」
「俺だったら、茜を女の子としていつだって見てる。茜のこと大切に出来る、大切にしたいから」