君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
「……俺は、お前の『女』にはなれないんだぞ」
腕の中で、茜の肢体は細かく、けれど確かに震えていた。
なのに茜の言葉はしっかりと重たい音をはらんでいて。
「……でも、茜は女の子なんだよ」
「――――くどいぞ、タケ」
「……俺は、茜が好きだよ。本当に、好きなんだ」
それを免罪符にしては駄目だと心のどこかで訴える声が聞こえる。
それが俺の中にある罪悪感なのか、蘇る創の声なのか、もうよく分からなかったけれど。ごまかすように、抱きしめたまま俺は茜に口付けた。