君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―






「あれ? 創じゃん。どうしたの?」

「……タケ」


 屋上に続く扉を開ければ、そこにはあっけらかんとした笑顔のタケがいて。

 そのあまりにもすっきりとした様子に、腹の奥が熱く澱んだ。
 そんなおれの様子を知ってか知らずか、タケはにこにこと話し出す。
 その声が、笑顔が、ひどく癇に障った。

 ごまかすように顔を右手で覆い隠せば、水気を含んだブレザーの袖が肌に沁みた。


 ――ああ、もう、いやだ。


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