君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
*
「あれ? 創じゃん。どうしたの?」
「……タケ」
屋上に続く扉を開ければ、そこにはあっけらかんとした笑顔のタケがいて。
そのあまりにもすっきりとした様子に、腹の奥が熱く澱んだ。
そんなおれの様子を知ってか知らずか、タケはにこにこと話し出す。
その声が、笑顔が、ひどく癇に障った。
ごまかすように顔を右手で覆い隠せば、水気を含んだブレザーの袖が肌に沁みた。
――ああ、もう、いやだ。