君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

「――でさぁ、聞いてる? 創。俺ちょっとだけ、すっきりしたよ。もう過ぎたことは戻んないし、それは付いて回るけど、ちゃんとそれも含めて責任は取るようにする」

「……何の話だよ」


 顔も上げれず、おれはただ声だけを振り絞った。
 ああ、なんで。なんで、こいつだけ。


「うん、だから、ごめん。謝っても許されることじゃないと思ってるけど、俺今度からはちゃんと本当にちゃんと、茜を見るようにする」

「……んな」

「え? なに? ごめん、創よく聞こえなかっ―――」


 おれを真正面から捕らえたタケの言葉が中途半端に途切れて、その瞳が驚きの色に染まるのが分かった。
 でも、それが何だって言うんだ。

 ふざけるな。

 おれはもう一度繰り返した。低く、うなるような声だった。

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