スノードロップ*01
ー気のせいか。…それにしても。こんな所に花びらが落ちてくるなんて。

今いるのは、ここでは1番大きいと思われる川に架かる橋の上。周囲を見渡してもこの花びらと同じ花が咲いている木などは見当たらない。
男が花びらを手に首を傾げていると、ふわり、と甘い匂いが風にのって再びしてきた。
少し目線を下げれば、また新たに花びらが地面に落ちてきている。

今落ちてきたこの花びらは空の方からではなく、男の左辺り、すぐ傍からふわりとやってきた。

―どこかにこの花びらの拠点となる場所が必ずあるはず。

男は花びらが落ちてきたと思われる方向に、そっと顔を向けた。
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