スノードロップ*01
男が顔を向けたその先には、1人の女の人が立っていた。

橋と川を隔てるクリーム色の古びたフェンスに登り、ぼんやりと川を眺めている彼女は黒い膝丈の無地スカートに紺色のブレザー姿で足には黒のハイソックスにロ―ファ―を履いていることから、この辺りの高校に通う学生だということがわかる。

川から時折吹く強い風が彼女の長い黒髪をなびかせているが、彼女自身は特にそれを気にとめることもなくただぼんやりと川を眺めている。

そんな彼女の足元には、先ほど男の鼻腔をくすぐったあの花が置かれていて、男はようやく香りの正体を見つけたのであった。
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