スノードロップ*01

薄く茶色がかった髪は風が吹く度にサラサラとなびいていた。前髪が少し長めでいつも右側に自然と流れてた。
「前髪、切らないの？」って1度聞いたことがあるけれど、「このままでいいんだ」って力なく笑ってた。何か事情があるんだ、と言うことだけは察してそれ以降聞くことはしなかった。


大きな黒い瞳は透明感に溢れていてみつめていれば吸い込まれてしまいそうなほどに澄んでいた。

体型も細くて力があるわけでも頼れるわけでもない。

それでも私は彼が…彼の存在が私の生きる意味だった。


こんなことを人に言えば、重い、って言われるに決まってる。
実際、自分でもたまにそう思う時がある。


…それでも私は颯がいたから、ここまで生きてこられたの。
もしいなかったら、私は今を迎えることはできていないから。