スノードロップ*01
フードをもう一度深く被り直してからそっと手を離して、再び手をポケットに入れようとしてー…止まった。

男の目に"あるもの"が、唐突に飛び込んできたからだ。

ふわふわ、ゆらゆら、と、ゆっくり静かに地面に落ちていく。
薄くて小さな"それ"は、1枚どころではなく何枚も同じようなものが地面に散らばっていた。

男は、自分の1番近くに落ちた1枚をしゃがんでそっと拾い上げる。

ー花びらか。

薄いピンク色をした花びらは、地面に落ちたからか所々が茶色く汚れていた。ほのかに甘い匂いもする。ーあれ?

ーこの匂い、どこかで嗅いだことがあるような…。
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