約束のエンゲージリング
「じゃあ私は先にお風呂入ってくるから、寛いでてね。」
「、、本当にいいの?じゃあお言葉に甘えて泊まっていくね。沙羅姉、孝兄ありがと。」
私の返事を聞くと安心したような表情を浮かべて浴室に向かった沙羅姉。
孝兄も由羅ちゃんを抱えて静かにリビングを後にしたと思いきやすぐに戻ってきた。
そして私の隣に腰かけて呟いた。
「何か言いたいことがあるんだろ?」
「、、え?どうして、、分かったの?」
「何年お前の兄貴やってると思ってる。顔みればすぐに分かる。」
そう呆れ気味にため息をつく兄を見て、苦笑いを浮かべてしまう。
兄は何でお見通しで本当に敵わないなと思った。
「うん、、マサさんの事なんだけど、、。孝兄、マサさんと話したんだよね?、、大丈夫だった?」
「まぁ大丈夫かと聞かれたら大丈夫じゃなかったな。、、沙羅から聞いただろ。あいつも胸に抱える闇が多い。だからお前の事も戸惑ったんだろうな。はたからみたらお前がマサに好意を抱いてるのなんか明らかだったが。」
「ふふ、マサさんは鈍感だから。今日なんかね、一睡もできなかったみたいで酷い様子だったの。マサさんを苦しめるつもりなんて無かった。ただ、、想いを伝えたかっただけ。でもそれがいけなかったんだって思い知らされた。このままじゃもとには戻れない気がしてる。」