約束のエンゲージリング
今まで彼の親友である兄には言えなかった胸の内。
私の所為で2人の関係を壊してしまうんじゃないかと恐れていた。
でもこうなってしまえば私にはもうどうする事も出来ず、兄を頼らずにはいられない。
「、、兄妹みたいな関係に戻るには少し時間が掛かるかなって思ってる。その為には少し距離を置く必要もあるかなって。」
「、、それは今の仕事を辞めるってことか?」
「マサさんの事を思えばそれが1番いいんだろうけど、お花屋さんって仕事好きだから辞めたくない。だから住むアパートを変えようって思ってる。孝兄はどう、、思う、、?」
急に孝兄の声が低くなって不安にかられ、表情を伺うと目を閉じていた。
暫く沈黙が続き、静まり返るリビング。
その沈黙が怖くてキッチンに二杯目のコーヒーを注ぎに立ち上がろうとすると兄が口を開いた。
「お前ももう大人だ。マサと同じアパートを離れて少し距離を置きたいと思うならそうするといい。反対はしない。なんならここに戻ってくるか?」
私の代わりに立ち上がって二杯目のコーヒーを手にして戻ってきた孝兄はとても優しい表情をしていた。
それが嬉しくてコーヒーを受け取り、笑顔を向けた。
「あはっ!ありがと。でもそれはさすがに甘え過ぎてるかな。せっかくまた新しく家族だって増えるのに大所帯だと大変だよ。」