約束のエンゲージリング
「、、千佳。俺と比べてお前は父さんと母さんから愛情を貰えなかった分、誰よりも幸せになって欲しいと思ってる。でもな、俺らを支えてくれたマサにも同じくらい幸せになって欲しい思ってる。」
「うん、、私もマサさんの幸せを心から願ってるよ。」
「だったら話が早いな。これから先、どんな事が起こっても俺を信じてろ。俺も沙羅も勿論由羅もお前の味方だ。悪いようにはしない。もしこれから先、何か起こったとしてもお前は自分の想いを信じて貫けよ。そうすれば幸せになれる筈だ。」
「う、うん?でもそれってどういう、、?」
意味深な事を言う兄を疑問に思っていると浴室から沙羅姉の声が響く。
「千〜佳〜〜っ?お風呂冷めちゃうよ〜〜!!」
「い、今行くー、、!!」
話が途中だった兄の方を見ると行ってこいと言わんばかりに仕事の書類に目を通していて、よく分からないまま浴室に向かった。
結局この日はそれ以来、兄と深い話をする事は無く眠りについた。
でも取り敢えずアパートの引越しの件は話せて満足した。
遅かれ早かれ、あのアパートは出る予定だったし兄達が探してくれるのならばきっと安心だと胸を撫で下ろした。
だからこの時、兄が言ってた本当の意味を理解することはできなかった。