約束のエンゲージリング
「マサさんは無自覚みたいだからもういいよ。それよりもそろそろ配達の時間だから私行ってきます。御船さん、口煩い兄を今後も宜しくお願いします!」
「千佳ちゃんは本当にしっかりしてるね〜〜。じゃあ配達頑張って!」
「はい!ありがとうございます!!!孝兄もまたねっ!」
御船さんに頭を下げて、作業場の方に向かうと後ろから兄に声を掛けられた。
「千佳、、沙羅から伝言だ。〝夕飯作って待ってる〟だそうだ。由羅もお前に会いたがってる。じゃあ、また夜にな。」
「うん、、分かった。じゃあ夜お邪魔する。また夜にね。」
そう答えてから店内を後にした。
配達先を調べてから商品を車に積み込んで車を発進させた。
車内で一人きりになると、我慢していた涙が静かに流れる。
もういい加減、この不毛な恋は諦めなきゃいけないな、、と先程の会話で痛感した。
あれだけハッキリ〝妹〟で〝家族〟だと断言されてしまったら付け入る隙もない。
24歳という年齢に達して、私の周りが早いだけなのかもしれないが、友達がどんどん結婚していって取り残される感覚。
その感覚に時折、押し潰されそうになる。