約束のエンゲージリング
着いた場所はお洒落な美容室。
接客中だと申し訳ないと思い、小声で入り口の近くにいたスタッフさんに声を掛ける。
「すみません、フラワーショップ牧野です。ご注文頂きました花束のご配送にお伺いしたしました。」
すると直ぐに気づいてくれたスタッフさんが嬉しそうに駆け寄ってくれた。
「あ!ありがとございますっ!!急な注文だったのに急いで下さってありがとうございます。でも使うのは仕事終わりだったんです。スタッフの子の送別用で。なので、、少し早すぎだったかな。」
そう言われ、花束の吸水部分をラッピングの上から触って確認すると保水ゼリーで包んでありホッと胸を撫で下ろす。
「こちら吸水部分は特殊なゼリーでコーティングしてありますので涼しい場所に立てて置かれれば半日は大丈夫です。」
「そうなんですねっ!良かった!!じゃあそうさせてもらいます。それにしても可愛い〜〜!またお願いしますね。」
「ありがとうございます。またのご注文、お待ちしております。」
彼の作った花束を抱えて嬉しそうに笑みを浮かべる美容室師さんに頭を下げて車に戻った。