約束のエンゲージリング
目を細めた彼が優しく微笑んでくれる。
その仕草は今も私の好きな仕草で、その笑顔を見るとどうしても胸が高鳴る。
もう抱いてはいけないその感情に蓋をするように彼から視線を逸らして時計を見ると閉店間近になって慌てて作業を止める。
「もうこんな時間だったんだね!?直ぐに片付けて閉店準備しなきゃっ、、!」
『でもその作業まだ途中でしょ?キリのいいところまでしていいよ。片付けは俺がしておくから。折角集中してるところに声掛けちゃった俺が悪いんだし。』
「え、、でも悪いよ。マサ兄1人に片付けさせるなんて。」
『片付けって言っても、もうある程度は片付け終わってるんだよ。だから少し残業してもらう形になるけど千佳は作業の続きをお願い。納期も明日だしね?』
「予定もないから残業は全然大丈夫なんだけど、、じゃあこのままキリのいいところまで仕上げてちゃうね?」
『うん、そうしてもらうと助かるから。じゃあお願いね。』
そう言うとぽんと私の頭に手を置いてから店内へと向かっていった彼。
「っ、、、!」
無意識だと分かっているけど、やっぱり彼を意識してしまって触れられた部分が熱をもつ。