約束のエンゲージリング


歩いて数分のアパートなのに、車で向かうという彼に車の助手席に少し強引に背中を押され苦笑いしながらも助手席に乗り込む。






「すぐそこなのに?歩いてもすぐに着くのに。」

『夜道の一人歩きは感心しないな。ここら辺は若い男性も多く住んでるからね。うちの店で預かってる限り、帰りに千佳の身に何かあったら孝に合わせる顔がないよ。』

「例え私に何かあったとしてもマサ兄が気に病む必要ないのに〜。ま!何かなんてある訳ないけどね!あ、そう言えばね?もう場所は探してもらってる最中なんだけど、引っ越ししようと思ってるんだ。」

『、、、、、、、は?引っ越しっ?』








会話の中でずっと言えずにいた引っ越しの件をサラッと話してみたが、案の定表情を一変させ素早く反応し食いついて来た彼。

そんな彼に困り顔で答えた。








「なんでって、、そりゃあやっぱりケジメ、、かな。」

『それは、、俺の所為だよね。』

「勿論、マサ兄との事が〝きっかけ〟になったのは間違いないかな。でもマサ兄の〝所為〟じゃないよ。前々から考えてた事なの。私ももういい大人でしょ?マサ兄と同じアパートじゃ完全な一人暮らしって言えないし。私もそろそろ孝兄やマサ兄から離れて自立したいなって。」




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