約束のエンゲージリング
笑いながらそう答えると、傷ついた表情を浮かべてから黙り込んだ彼。
そんな顔しないで欲しい。
決心が揺らぎそうになってしまう。
ただ単に彼は側にいた妹が心配だという感覚なんだろうけど、勘違いしそうになってしまう。
私が側に居なくなるのが寂しいみたいな、そんな都合のいい勘違い。
「そ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ〜っ!家事だって自炊だってちゃんと出来るし?店から少し遠くなっても交通機関使ってちゃんと遅刻ぜすに出社するからっ。」
『、、そういう問題じゃないでしょ。第一、一人暮らしなんて孝が許す訳ない。千佳は忘れてるかもしれないけどあの家から出る事が出来たのも、俺と同じアパートだったからでしょっ、、!?』
怒っているような低い声で珍しく声を上げる彼に驚いたが、そんな彼をなだめるように声を掛ける。
「孝兄からはもう許可は貰ってるの。実際、次の引っ越し先は孝兄と沙羅姉が探してくれてる所だし。」
『孝が許可を出した、、?そんなまさか、、。』
「本当だよ〜〜。結構前から探してくれてると思うからそろそろ連絡があるころだと思う。だからマサ兄にはちゃんと事前に報告しておこうって思ったの。場所が決まったらまた教えるねっ!!だからね、、いつでも遊びに来て?」