約束のエンゲージリング
これ以上、決心が鈍らないように決定事項のように言い放った。
孝兄から許可が得ていると分かれば、さすがの彼も納得するしかない筈。
ドキドキしながら、彼の返事を待っていると唸るように小さく呟いた。
『、、分かった。直接確認に行くよ。』
「確認って、、何、、っ、、を、、?」
彼の放つオーラがあまりにも怖くて言葉が途切れ途切れになってしまう。
よく見ると、目も座って居て私と話している筈なのに目が合う事もなく何処か一点を見つめている。
『取り敢えず、今日は残業ありがとね。サラダ、多かったら明日の朝にでも食べて。俺は少し寄るところあるから、ここでね。』
「あ、、う、うん。送ってくれてありがと。じゃあまた明日ね?」
『部屋に入ったら戸締りはちゃんとね。また明日。』
私の問いかけには答えずに、車から降りるようにやんわり促され慌てて車から降りた。
相変わらず心配性な彼だったが私が降りたのを確認すると直ぐに車を発進させた。
アパートの前に取り残され、茫然とその場に立ち尽くす。
すんなり報告できるとは思ってなかったが、ここまでとは思わなかった。
もはや兄を通り越して父親のようだ。