約束のエンゲージリング
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「ねぇ、そういえば半年前に予約してた温泉宿そろそろキャンセル入れないとキャンセル料払わないとだよね?」
「そうだな。明日にでもキャンセル入れといてくれるか?」
「了解〜。」
まだ沙羅の妊娠が発覚する前にたまには家族で温泉宿にでもと人気の宿を予約していたが、予約してすぐに妊娠が分かった。
場所が少し遠い上に人気隠れ家温泉宿なだけあって山の辺境にある。
どうするか悩んだが、今回はキャンセルすることにした。
またお腹の子が産まれて落ち着いたらいけばいい。
それに今回は家族水入らずで行ってきてと断られたが、次こそは千佳も連れて行こうと考えていた。
15歳離れた妹。
俺に負い目を感じているようで、困らせないようにと幼い頃からあまりわがままを言わないヤツだった。
両親を早くに亡くし、たった1人の肉親である妹が、自分の中でも生きる希望で活力だった。
千佳が居たから頑張れた。
そんな千佳も25歳を迎え、大人になったなとしみじみと感じてしまう。
〝一人暮らしがしてみたい〟と相談してきた時はまだ20歳を迎えたばかりで俺が結婚した歳だった。