約束のエンゲージリング
コーヒーを持ってきてくれた沙羅が張り詰めた空気を感じ取って恐る恐る声を掛ける。
「じゃあ私は、違う部屋に行ってるね?」
「あぁ、そ『ううん。沙羅ちゃんもここに居て貰ってもいいかな?』
〝あぁ、そうしてくれ〟という俺の声を遮ってマサが沙羅に声を掛ける。
その強めの口調に沙羅も戸惑いながらもダイニングテーブルについた。
皆が席に着くなり真剣な表情で呟く。
『じゃあ、早速なんだけど、、、いいかな?話っていうのは勿論、千佳の事なんだけど。引っ越しの許可を出したって本当?』
「あぁ、出した。まぁもう許可がいるような歳じゃないしな。千佳がしたいようにさせたやろうと思ってる。」
『何言ってるの!!もう子供じゃないから駄目なんでしょ?!若い年頃の女の子が一人暮らしなんて、、。今日だって客の男にやたらと絡まれててこっちは気が気じゃないっ、、!店に立たせないようにしようかって本気で悩んでるくらいなのに一人暮らしなんてっ!俺は反対だよ!!孝は分かってないんだよ!!!』
立ち上がって興奮気味に声を上げたマサに隣に座る沙羅は驚いて唖然としている。
無理もない。
俺だってこんなマサを見るのは初めてだ。