約束のエンゲージリング


そんなマサに冷静に声を掛ける。






「分かってないのはマサの方だろ。あいつはあいつなりに前に進もうとしてる。お前はその邪魔をしたいのか?お前はあいつを本当の〝妹〟のように思ってるんだよな?それなら黙って見守ってやるのが兄貴ってもんだ。お前言ったよな?〝もう子供じゃない〟って。いつまでも子供扱いしてるのはお前の方じゃないか?それとも、、他に何か理由があるのか?」

『っ、、、。』








真っ直ぐに見つめて核心に迫ると目を逸らしたマサ。


それは肯定しているように見えて更に言葉を続けた。









「俺からすればお前の千佳に向ける感情は妹に向けるものじゃない。気持ちに応えられないってお前は言ったけど、本当にそうなのか?俺には、、そうは見え『千佳は妹だよ。それは今も昔も変わらないよ。』





それまで黙って聞いていたマサが突然、言葉を被せてきた。

最後の言葉はマサの力強い言葉でかき消された。





〝千佳は妹〟

まるで自分に言い聞かせるような口調にため息をついた。







本当にそうなのか?

そう思い込もうとしてるんじゃないのか?

俺にはそうは見えなかった。



ずっと、、愛しいモノを触れるように千佳に接しているようだった。

それは俺が沙羅に接するような。





< 124 / 284 >

この作品をシェア

pagetop