約束のエンゲージリング


2人の問題に第三者が口を出す問題じゃないと分かっていても、口を出さずにはいられない。

妹だと言い張るなら何故そんな顔してる?

そんな引っ越しくらいで普段穏やかなお前が声を荒げて焦った表情するんだよ。









「ならなんで千佳の部屋に上がらない?お前の部屋に千佳を上げない?」

『それは当然でしょ?いくら兄妹だって言っても年頃の女の子の部屋に上がらないし自分の部屋にも上げないでしょ。』

「俺は気にもならない。」

『それはそうでしょっ!千佳と孝は本当の兄妹なんだから。』

「じゃあマサは?」

『だから俺はっ、、、っ、、!』










またもや黙り込んでしまうマサにイライラしてつい低い声で呟く。



「沙羅、まだ旅館はキャセルしてなかったよな?」

「えっ!?う、うん。まだしてないけど、、。」








俺らの会話を終始戸惑い続けている沙羅に話を振ると驚きつつも答える。

それを聞くと一度目を閉じて、それからゆっくりとマサを見つめる。










「マサが本当に千佳を妹だと思ってるなら泊まりで温泉旅行に行ってこいよ。勿論、2人きりで。」

『は、、?何で2人で、、旅行、、、?』

「なんとも思ってないなら問題ないだろ?丁度、キャセル入れようと思ってた所なんだよ。2人で行ってこいよ。それで本当に何も無かったなら千佳の引っ越しの件は考え直す。」







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