約束のエンゲージリング
「えっ、、?!孝、それはさすがに、、!」
いくら歳が離れているとはいえ、いい歳した男女を泊まりで人気の温泉宿に行かせるという俺の横暴な提案に声を上げる沙羅。
マサも一瞬だけ戸惑った表情をしたが直ぐに真剣な表情で呟く。
『、、〝何も無かったら〟なんてそんなの当然でしょ。俺らは兄妹のようなものなんだから。その旅行っていつ?店の休みを調整するよ。』
「来月の頭、一泊二日だな。」
『了解。じゃあ折角だからその旅行は千佳と2人で行かせてもらうよ。』
「あぁ、俺らの代わりにせいぜい楽しんできてくれ。」
『普通に帰ってくるから千佳の引っ越しの件は考え直しね?勿論、約束は絶対に守ってもらうから。じゃあ俺は帰るね。沙羅ちゃん、コーヒーご馳走様。』
そう言って笑顔で席を立つマサ。
そんなマサを追いかけて慌てて立ち上がり声を上げようとする沙羅を無言で止めに入る。
不安そうな表情を浮かべる沙羅の頭を優しく撫でる。
「、、心配しなくても大丈夫だ。お前はここにいろ。」
小声で呟いてから玄関へ向かう。
既に靴を履き終えて玄関のドアに手を掛けているマサに声を掛けた。