約束のエンゲージリング
なんでそんな態度を取られなきゃいけないのだろうか。
こっちは振られた身だというのに、酷い仕打ちだ。
独り、彼の出て行ったドアを見つめていると余計にイライラしてきてた。
日々の疲れを取りに来たのに、こんな気持ちになる為に来たんじゃない。
一度大きく深呼吸をし気持ちを切り替えてから脱衣所に行き、服を脱ぎ捨てて露天風呂の湯船に体を沈めた。
「っふぅ〜〜〜〜、、。気持ちなぁ〜〜。」
予想通りに露天風呂は最高で、目を閉じて油断していると眠ってしまいそうだ。
こんな素敵な露天風呂、彼にこそ堪能して欲しかったなっとどうしても思ってしまう。
きっと今日はもう入らないだろうけど、明日ならまた帰る前に温泉に入るかもしれない。
ならばその時はこそは場所を交換して入ればいいかと呑気に考えた。
あまりの気持ちよさに随分と長湯を楽しんでしまった為、頭がぼんやりとしてきてしまい慌てて露天風呂から上がった。
身体は火照って、じんわりと汗が滲む。
浴衣に着替えて部屋に戻るが彼の姿はない。
相当長湯していた私よりも遅いだなんて一体、何処で何しているのだろう。