約束のエンゲージリング
「やっと戻ってきてくれたのにどこ行こうとしているの、、?ずっと待ってたんだよ。まだ日本酒あるからマサさんも一緒に飲も?それとも、、また行っちゃうの、、、?」
俯いて少し鼻声の千佳。
泣いているのか顔を上げないまま、掴んだ腕に更に力が込められた。
部屋に独りきりにさせた事が千佳に寂しい思いをさせてしまったのだと知り、掴まれていない方の手で優しく頭を撫でる。
『遅くなってごめん。少し夜風に当りたくて外を一人で散歩してたんだ。』
「、、本当に、、、?」
『本当に。それより千佳、流石に飲みすぎ。しかもかなり酔ってるね。取り敢えずお酒はお終い。ベットに横になろうか?連れて行ってあげるから。』
優しく声を掛け肩を抱き寄せてベットへと千佳を誘導する。
フラフラと足取りがおぼつかない千佳を支えながらベットのフチに座らせる。
それでも俯いたまま一言を言葉を発さない千佳が心配になり前髪を掻き分けて顔を覗き込む。
『、、千佳?もしかして気分悪いの?水飲もうか?それとも吐きそう?トイレいく?』
今にも泣きそうな表情で視線を合わせ、千佳は小さく呟いた。