約束のエンゲージリング
「、、水飲みたい。」
『水ね、待ってて。直ぐに持ってくるよ。』
一旦、千佳の側を離れ冷蔵庫から冷えたミネラルウオーターを手に取り素早くベットへと戻った。
キャップを外し、千佳の目の前にそれを差し出す。
『はい、ミネラルウオーター。』
そう声をかけても千佳は俯いたまま動かない。
これは相当酔っているなと苦笑いしながら、もう一度声を掛けようとするとゆっくりと顔を上げた千佳。
先程とは違って真剣な表情で真っ直ぐとこちらを見つめている。
そしてハッキリとした口調で呟いた。
「飲ませて?」
『、、は?』
数秒間、思考が停止していた。
千佳が酔うとこんなにも甘えてくるタイプだなんて知らず、つい戸惑ってしまう。
そんな戸惑いを隠すように笑いながら声を掛ける。
『何?千佳って酔うと、甘えたになるタイプなの?もう子供じゃないんだから甘えずに自分で飲みなさい。』
そう言ってミネラルウオーターを顔の目の前に突き出すが顔を左右に振るだけで一向に手に取ろうとしない。
冗談にしてはあまりにも真剣な表情でこちらを見つめ続ける千佳に、ため息をついて隣のベットのフチに腰かけた。