約束のエンゲージリング
こちらの気持ちも知らずに、わがままばかり言う千佳についイライラして強い口調で問いただす。
するとキッと睨みつけながら、千佳は大きく空気を吸い込むとそれを吐き出すように声を上げた。
「マサさん言ったもんっ!!千佳はもっとわがままで良いってっ!っ、、それなのに酷いっ、、!!結局マサさんもわがまま言う子は面倒くさいって思ってるんでしょ?!そういうの子供っぽいって!だから今までずっと我慢してたよ!!!マサさんに嫌われたくなくて自分の気持ち押さえつけてきた!!!この前はいい子ぶってああ言ったけど本当はマサさんの事、諦めたくない!!!今更、兄妹のようには過ごせない!!!!そんな簡単な気持ちでマサさんの事好きだったんじゃないよ、、?だからもう妹として側にいるのが辛いのっ、、、。」
ボロボロと涙を流しながら口にした言葉。
それが初めて漏らした千佳の本音だと言うことは、滅多に見せないボロボロの姿から容易に想像できた。
きっと自分の知らない所で傷ついて、それを必死に隠して笑っていたんだと思う。
そう思うと胸の奥からこみ上げてくるものを止める術がなくて、ベットのマットレスと千佳の背中の隙間に両手を回しキツく抱きしめる。