約束のエンゲージリング
すると更に声を荒げながら叫んだ。
「っ、、!同情の慰めなんか要らない!!!そんな中途半端な優しさなんてただ虚しいだけなの!!もう離してよっ!!っマサさんなんて大っ嫌いっ、、、、!」
〝大っ嫌い〟
初めて言われたその言葉を聞いた瞬間、自分の中で何かが弾けたのが分かった。
「離してってば!!嫌い!もう顔も見たくないっ、、!仕事も辞めて住むとこも引っ越して、もう一生マサさんとは関わらずに生きてい、、っ!?っ、、んんっ、、!」
気づけば千佳の言葉を最後まで聞かずに、噛み付くようにキスをしていた。
初めて触れた唇は想像以上に柔らかく、角度を変えて触れれば触れるほど甘く熱を持ち、まるで口から媚薬が流れ込んでくるようだ。
千佳が苦しそうにしているのが分かっていても、一度タカが外れてしまえば止めることが出来ない。
こうなることを恐れていた。
ずっと大事にしてきた可愛い彼女。
15歳年の離れた親友の妹。
まだ首も座らないスヤスヤと眠る可愛い彼女を恐る恐るこの手で抱きしめた時は、本当に今まで感じたことのない感情だったと思う。
その時、今にも壊れてしまいそうなほど小さくて尊い彼女を何故か兄でも父親でもない自分が守っていくのだと思ってしまった。