約束のエンゲージリング
それが全ての間違いだったんだろうか。
ジッとこちらを見つめるだけだった彼女が、成長するにつれ、笑い、泣き、歩き、駆け出し嬉しそうに抱きついてくれる。
更に様々な表情をみせてくれるようになった。
〝マサさんっ!〟
そう笑顔で呼ばれる度、彼女の成長の過程で自分の中で芽生えた感情が徐々に確信的なモノに変わっていく。
彼女が〝愛おしい〟という感情。
それは本当の家族ではない15歳も年下の女の子に抱くにはあまりにも重いもので自分でも戸惑いを隠せない時もあった。
そのせいで傷つけた想いもあって、だからこそもう誰も傷つけずにすむようにと蓋をした。
この想いはあってはならないものだからと胸の奥深い所に閉まった。
でもいつか限界がきてしまうと分かっていた。
彼女が大人になっていくその度に込み上げていく感情を抑えるのが必死で自分なんかでは幸せに出来ないくせに誰かのモノになるのも許せない。
そんな身勝手な俺を好きだと言ってくれた彼女。
1番最初に出会った歳上の異性が女性の憧れになる事は多く、まさに彼女の俺へと向ける感情はそれだと思った。
憧れが好きだと勘違いしてしまう。
純粋な彼女らしい。
だからそんな勘違いな想いに応えてはいけないのだと自分に言い聞かせて彼女を遠ざけた。