約束のエンゲージリング
それでも後から全身に流れ込んでくる感情は幸福に満たされたもので、女性を抱いた後にこんな感情を抱いたの初めてだった。
これが特別ということか、、と実感する。
静かに寝息を立てている彼女の横顔を眺めながら深いため息を吐く。
『、、結局、孝が言った通りになったな。このキッカケを無駄にしたらそれこそ殴られそうだ。あとは後悔しないように、、前に進むだけだな。』
大きい独り言は広い部屋に消えていく。
彼女が眠るベットへと近づき、そのフチにそっと座る。
すると丁度のタイミングで寝返りをうち、壁の方を向いていた彼女がこちらへと身体の向きを変えた。
サラリと綺麗な髪が顔に掛かり、咄嗟にその髪をそっと耳にかけてやる。
静かな寝息をたてながら穏やかに眠る彼女につい頬が緩む。
そんな彼女を暫くの間眺めていると心が穏やかになっていくのが分かる。
お陰で一気に眠気に襲われて、そのまま彼女が眠る横へとベットに入った。
そして彼女を強く引き寄せて自分の胸の中に閉じ込める。
こんな日を夢見ていた。
まさかこうして彼女を自分の腕の中に抱きしめる日がくるなんて思ってもいなかった。