約束のエンゲージリング
「長旅の運転お疲れ様でした。それと他にも色々、、ありがと。迷惑もかけてごめんなさい。でも旅行、、本当に楽しかったっ!明日からまたお仕事頑張ります!!!」
そう声を掛けてアパートに向かおうとするが咄嗟に手を握られる。
「え?マサさん、、?」
『今日のうちに報告しておきたいって言ったでしょ。取り敢えず自分達の荷物は車に置いてお土産だけ持っていくよ。』
「行くって、、どこへ?」
『孝のとこ。』
短くそう答えて私の手を引き、兄の家の方へと足を進めて行く。
「ま、待ってっ、、!?報告ってなんの?!?!それにお土産も明日にでも渡しに行ったらいいんじゃないかな?!何も今日行かなくても、、!」
足を踏ん張って抵抗してみたがまた余り力が入らない為、そのままズルズルと引きずられるように玄関まで連れて行かれる。
そして彼は迷うことなくチャイムを鳴らす。
一体、兄になんと報告するつもりなのだろうかと不安に襲われる。
つい魔が差して妹に手を出したから責任をとる、、的な、、、?
なんだかんだで私を大事に育ててくれた兄。
いくら親友といえども、そんな理由で兄が納得する筈もないだろうし最悪の場合は2人の間に亀裂が入ってしまうかもしれない。