約束のエンゲージリング



「お前達、ここがどこか忘れてるだろ。」




我を忘れて完全に自分達の世界に入ってしまっていて兄の言葉にようやく現実に引き戻されて羞恥心で全身から湯気が出そうになった。

しかも先程まではいなかった沙羅姉にまで見られていて、恥ずかしさで顔を上げられない。








「えっと、、これは今回の旅行がキッカケで2人が恋人同士になったって解釈してもいいの、、かな?」



戸惑いながらも嬉しそうに問いかけてくる沙羅姉に彼ははっきりとした口調で答えた。










『うん。その許しを2人に貰いにここにきたんだ。千佳の事は、これまで以上に大事にする。だから沙羅ちゃんも俺らの事、認めて欲しい。』

「認めるもなにも2人ともいい大人なんだし、それに口を挟むようなことはないよ。孝だってそうでしょ?」

『寧ろ望んだ結果だ。』

「ほらっ!ならみんなhappyって事で!!てか2人が恋人になったなら引っ越しの件は必要なくなったね。」

『その事なんだけど、そのまま進めて欲しいんだ。社会人としてケジメはちゃんとつけたい。職場も一緒で帰るアパートも一緒じゃ千佳が休まらないだろうから。勿論、今まで通り送り迎えはするよ。ただ、あんまり離れてないとこへの引っ越しを希望したいんだけど、、いいかな、、、?』

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