約束のエンゲージリング


「そこの高層ビルの会社にお勤めだったのですね!全然知りませんでした。」








すると男性はさらに嬉しそうに微笑む。




「そうなんです!だから営業回りだったり出勤時間だったりみんなこの花屋さんを通るんです。俺の課でもちょっとした有名人ですよ。岩田さんもここの店長さんも。」

「え?有名人、、ですか?」

「若くて美人な岩田さんと年上優メンの店長さん。一時期、2人が夫婦だって噂も流れたくらいです。でもたまたま同じ部署に岩田さんと同じ高校だったヤツがいて、2人は血の繋がらない兄妹みたいな関係だって聞いて皆んな安心してたなぁ〜。、、って俺もそんな1人なんだけどね。だからこうやってお近づきになれてメチャクチャ嬉しいんだよねっ!!名刺の裏に俺のプライベートの番号をっ!?」







差し出していた名刺を私の手に乗せながら少し前に身を乗り出した男性に驚いていると男性が話し終わる前に名刺が手の中から消える。

何事かと名刺が消えた方に視線を向けると作業場にいた彼が名刺を持っていて、それを男性に突き返していた。








そして男性に怖いくらいな笑顔を向ける。




『ご贔屓にしていただき、ありがとうございます。ただ、、昔と状況が変わりまして彼女と自分は今恋人同士なんです。ですからこの名刺は頂けませんね。それから会社の皆さんにも、そのようにお伝え頂けますか?』


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