約束のエンゲージリング


その様子を呆れたような表情を浮かべる彼が視界に映ったが、あえてそれに気づかないフリをして花を包む。



隣で何か言いたげにしながらも、お客様の前に苦笑いを浮かべるしかできない彼。









「大変お待たせ致しました。」



包んだ花をお客様にお渡ししようと顔を上げると、お客様が私と彼を交互に見て小さく呟いた。







「、、あの、、、もしかしてお2人って御夫婦とかですか?いや、でも年齢が違い過ぎるかな。あ!ご兄妹とかですか?!それなら納得です!!よく見たら何処と無く似てるかも!そ、そうですよねっ、、!?!?」




必死に自分に言い聞かせているお客様にニッコリと笑顔を貼り付けて言葉を掛けた。














「いいえ、兄妹ではありませんよ?でも、、、ずっと一緒ですから兄妹以上ですかね。マサさんの事で知らない事はないくらいに。」



笑顔で掛けた言葉にショックを隠しきれない女性は私から花を奪いとり、店を走り出して行った。






そんな後ろ姿に頭を下げる。






「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」



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