約束のエンゲージリング
お互い一人暮らしで自炊していた事もあり、手際はなかなか良い方だと思う。
出来上がった料理を2人並んで美味しく食べて、たわいの無い話をしながら穏やかに過ごす。
洗い物をし終わったらシャワーを浴びて2人で眠るには狭いベットに横になる。
勿論、彼が泊まりに来てくれた夜は必ず優しく抱かれて素肌で抱き合って眠りにつく。
朝、目が覚めると裸で眠る彼に抱きしめられているという状況に未だに慣れないがこの上なく幸せだと感じる。
まるで同棲しているような、、そんな感覚。
結婚したらこんな感じなのかなと想像せずにはいられない。
彼ももういい歳だ。
普通なら結婚して子供だっていていい年齢。
元々結婚願望がないのか、それとも昔のトラウマを引きずっているのかは分からないが、どちらにせよ私が想像する未来は彼とは望めない気がする。
幼い頃は彼との結婚を夢見た事もある。
でも年齢が上がるにつれ、まるで兄妹のように過ごしてきた15才歳の離れた兄の親友との結婚だなんて現実問題ありえないと嫌でも分かってしまう。
だから女の幸せは結婚が全てじゃない。
あの頃と違って兄妹としてではなく、恋人としてずっと彼の側に居られれば、それだけで私は幸せなんだと自分に言い聞かせる。