約束のエンゲージリング


あれ、、?やっぱり別の人?



確か彼の愛した女性は結婚していた筈。

名前を聞いただけじゃ本当にその女性なのか確かめられない。






未だに見つめ合う2人をただ黙って見ていることしか出来ない。



「正巳が元気そうで本当に良かった。、、私ね、あれから直ぐに主人とは別れたの。私にそんな資格無いって分かってるけど、正巳の事心配してた。だってあんな別れ方で『千尋さんっ、、!!!』



女性が確信的な言葉を放つと焦ったように声を荒げ言葉を被せた彼。







その表情は苦しそうで思わず彼に手を伸ばす。

服の裾を引っ張るとハッとした表情をしてこちらに視線を向けた。







目が合ったのはほんの一瞬で直ぐに逸らされてしまった視線に胸の騒めきが増していく。







ねぇ、、マサさん。

今、自分がどんな表情してるか分かってる、、?







切なく揺れるその瞳が物語ってる。


きっと彼女は、今でも忘れられないヒト。





愛して止まない最愛のヒト。




旦那さんと別れたと告げに来た女性もきっと彼が忘れられなかったに違いない。

2人の想い合う姿をまざまざと見せつけられ、身動きが取れない。








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