約束のエンゲージリング
辺りを見回すが彼女の姿はない。
落胆してその場に立ち尽くしていると背後から冷静な声。
「、、マサ、一旦落ち着け。そんな血相を変えてどうした?何があったか説明しろよ。」
『彼女が、、千尋さんが店に来た。』
「えっ!?千尋さんって確かあの人だよねっ、、?なんで今更っ、、。そ、それで!?千佳は!?!?」
彼女の名前を口にすると孝は眉をひそめ、驚いた様子で黙り込んでいた沙羅ちゃんは声を上げた。
一旦、乱れた呼吸を整えてから先程の出来事を説明する。
『彼女、配達に行ってる間に店に来たみたいで俺が戻ってきた時には2人は鉢合わせしてて、、千佳は彼女が前の恋人だって分かったみたいだった、、。』
「それで!?!?」
『、、取り敢えず千佳には配達に出てもらってその間に帰ってもらおうって思ったんだけど、、千佳は思いのほか早く戻ってきて俺らの様子を見るなり作業場を飛び出してそれから戻ってこなくて。新居の方には居なかった。隣の人曰く、大荷物抱えて出て行ってたって聞いて、、ここじゃないかって。』
「いや、来てない。電話は?」
『繋がらなかった。』
「つーか元カノが店にやってきたくらいで仕事放棄して出て行くって、、千佳も随分と子供地味たことしたな。」