約束のエンゲージリング
すると一気に空気が冷たくなる。
そんな空気に耐えられなくなった沙羅ちゃんが遠慮気味に声を発した。
「、、コーヒー入れるね。立ち話もあれだし取り敢えず座ろ?」
「そうだな。」
2人に座るように促され、腰を下ろした。
すると直ぐにコーヒーが運ばれて来て少しお腹の膨らんだ沙羅ちゃんも腰を下ろす。
『突然押しかけてごめん。それに沙羅ちゃんが大事な時なのに、、。』
「妊婦は病気じゃないから大丈夫だよ。そんな事より今はマサ君と千佳の事の方が一大事だから。、、それで?捉え方が違うって、、どういう事?だってマサ君はあの人とあんなに長く付き合ってて結婚だって考えてたよね?でも酷い裏切られた方して傷ついて、、それがトラウマで恋人が作れなくなったんよね、、?」
「いや、違うな。正確にいうと〝作らなかった〟だろ?自分への戒めとして一生独りで生きていくって覚悟でもしてたんだろな。」
親友に言い当てられ、流石としか言いようがない。
『やっぱり孝は気づいてたんだね。』
「まぁ、、あれだけ似てればな。」
「似てるってあの人と千佳が?っ、、、じゃあマサくんはあの人と千佳が似てたから千佳の想いに応えたって事!?身代わりみたいなそんな事っ、、、酷いよっ!」