約束のエンゲージリング
立ち上がり玄関の方へと促されれば、そうせざるえない。
一先ず千佳の安否が最優先な事を考えると孝の言う通りにするしかない。
『分かった。孝の言う通りにしてみるよ。千佳と連絡が取れたら何時でも構わないから絶対に教えて。それが分からないと出張どころじゃない。』
「分かってるよ。すぐに連絡する。」
『ありがとう。それと沙羅ちゃん、今日は色々と混乱させてごめんね。でもこの想いに嘘はないから。、、ずっと隠しててごめん。コーヒーご馳走様。』
未だに混乱している沙羅ちゃんに声を掛けて、席を立った。
「あまり思い詰めるなよ。難しく考えるな。周りの事なんて関係ない。お前がどうしたいかだけ分かればいい。」
「うん、、そうだね。本当にごめん。お邪魔しました。」
最後に声を掛けてくれたが孝だったがその顔をみる事なく、そのまま玄関に向かい孝の家を出た。
トボトボと自分のアパートへ戻り、その足で明日の出張の準備を始めた。
何かしていないと自分を保てなくて余計な事を考えしまいそうだったからだ。
ポータブル充電器を探して引き出しを開け閉めしていると、1つだけ何かが奥で引っかかって最後まで引き出せない引き出しがあった。