約束のエンゲージリング


「、、分かった。そうマサには伝えておく。他に伝言はないか?」

「仕事を放棄して、迷惑かけて本当にすみませんでしたって伝えてもらっていい?」

「それだけでいいのか?」

「うん、、。後はマサさんが帰ってきたら直接本人に言うから。、、少し考えてみる。」

「マサにも言ったけど、、あんまり思い詰めるなよ。」

「、、うん。ありがと孝兄。じゃあまたね?お休みなさい。」









そんなやり取りがあって、兄が何か言ってくれたのかその後からは彼からの着信は無かった。


泣き疲れたこともあってその日はそのまま眠りについたのだが、少し早めに目が覚めた私は鏡を見て驚愕してしまった。






目元はパンパンに酷く晴れ上がり、顔も全体的にむくんでいた。

慌てて顔全体に冷やしたタオルを掛けてみたが、あまり腫れが引くことなく出勤時間となってしまった。


そのため中途半端な状態での出社になり、少し人相が変わってしまった為それを隠そうと必死に笑顔を貼り付けて接客する。







常連のお客様にはやはりバレてしまって、腫れている目元の言い訳を考えるのが大変な1日だった。




時計を確認すると午後6時30分。


そろそろ彼の居ない1日が終わろうとしている。

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