約束のエンゲージリング

年に何度か総会に出席して店を留守にする彼。

私が働き出した年は、まだ1人で店番することができず、やむなく店を閉めたが2年目からは仕事もある程度覚えていた為1人で留守を預かることもあった。



でも何だかんだで心配症の彼は、1日に何度も電話を掛けてきて近況報告をさせられた。

そして総会終わりには必ず、無事に店番を出来たご褒美にとお土産を持って部屋を訪ねて来ていた。




初めて1人で店番を任された日は、やっぱり不安でなにより彼に会えないのが辛かった。

そんな夜、彼が滅多に見れないスーツ姿でお土産を片手に訪ねてきて優しい表情で頭を優しく撫でてくれた。


並ばないと買えないと有名なお土産よりも、1日の終わりに大好きな彼に会えたのが嬉しくてそれを隠しきれずはしゃいだ私を勘違いした彼。

それから総会で店を空ける時は必ずお土産を持って会いにきてくれるようになったのだ。







だから留守を任された日は、夕方になるとソワソワしていた。

今日はそんなことをする必要なんてないのに、長年の癖でどうしてもソワソワしてしまう。





今頃彼は夜の懇親会だろう。

花屋さんのオーナーさんは女性も多く、今回は初めて泊まりでいくと聞けば、気が気じゃない。
< 257 / 284 >

この作品をシェア

pagetop