約束のエンゲージリング
いつだって実の妹のように溢れるほどの愛情をくれる沙羅姉に感謝しながらその日はアパートへと戻った。
部屋の明かりをつけた途端、携帯にメッセージが来てた。
それを確認すると彼からだ。
〝無事帰り着いた?〟
私の借りている部屋は彼のすぐ真上の部屋で、よくベランダでタバコを吸っている彼は私の帰宅時間が分かるようだ。
〝今、帰り着いたよ〟
そうメッセージを送るとすぐさま返信が来た。
〝いつもよりも帰りの時間が遅かったから。何かあった?〟
〝嬉しい報告があったら、つい沙羅姉と長話してただけだよ〟
〝そう、なら良かった。じゃあおやすみ。また明日ね〟
彼と2、3通メッセージのやり取りをして携帯を閉じた。
相変わらずの兄を通り越して父親のような心配性に苦笑いしながらため息をついた。
いつまでもこのぬるま湯に浸かっていたいけど、沙羅姉と約束したからには彼に本気でぶつからなければと自分に言い聞かせてベットに横になった。
、、、目を閉じると思い浮かべるのはやっぱり彼の優しい笑顔で、ずっと彼だけを追いかけて来た私が本当に彼を忘れることができる日がくるのかなと不安になりながら眠りについた。