約束のエンゲージリング


こちらの返事も聞かず、ただ戸惑う私に容赦なく言葉を浴びせる。








「色々聞きたい事があるの。ほら、あの日は正巳が邪魔に入っちゃったでしょ?今日はいないみたいだからチャンスだって思ってね。、、貴方と正巳は恋人同士なのよね?随分と歳が離れているようだけど、貴方いくつなの?」

「今のところは恋人同士です。歳は、、25歳です。」

「若いわね。確か正巳が今年で40だから、、、15歳も離れているの?そんなに歳が離れているなら世間からどんな風に見られてるか知ってる?」

「他人からどう見られようとも関係ありません。」

「貴方はよくても正巳は、、ねぇ、、?」








そう言って不敵に笑う女性。

最初に会った時とは随分と印象が違う。



攻撃的な物言いに全体の空気がピリピリと張り詰めるのが分かる。






、、彼を取り返しに来たのだろうか。

そんな事しなくても、明日には貴方のモノなのに。



黙り込んで俯いていると更に言葉が続く。








「まぁ、いいわ。そんな事より、私は貴方に忠告しに来たの。」

「、、忠告ですか?」

「ええ。もしかしたら薄々気づいてるのかもしれないけど、、。正巳、もう何年、いや何十年と心から想っているヒトがいるでしょ?、、決してそのヒト以外は愛せない。」


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