約束のエンゲージリング
もしかして機嫌が悪いのかもと、彼の表情を伺うがこれといっていつも通りに見える。
『、、ん?どうしたの?』
「ううん、何でもない。」
ガン見しすぎてしまっていたようで、目が合った彼に優しく微笑まれてやっぱりいつも通りのようでホッとした。
その後は配達に接客にとそれなりに忙しい時間を過ごし、空いた時間に店内の観葉植物に水やりと手入れをする。
明日は丁度鉢物のセリの日なので、古くなった鉢物など裏に引いて明日来たものを直ぐにディスプレイできるように片付けを始めた。
それに、、明日は決戦の日だ。
明日でとうとう25歳になる。
だから今日の業務が終わったら、デートに誘おうと心に決めてきたのだ。
そこで告白する!
心ここにあらずで片付け終わらせチラリと時計を見ると、あと少しで終業時刻になっていることに気づき今更ながら緊張してきてしまう。
彼も明日の予約表を見ながらこちらに声を掛けてきた。
『岩田さん。明日の予約もないし、今日は雨だからお客さんももう来ないだろうから少し早めに閉めようか。お疲れ様。』
「は、はーい。」
せかせかと店のカーテンを閉めて戸締りを終わらせてからロッカーでエプロンを脱ぎ捨てる。
それから休憩所を出るといつかのデジャヴのように彼が壁に寄りかかりながら待っていた。