約束のエンゲージリング
『お疲れ様。じゃあ歩いて帰ろうか。』
「うん。あ、でも明日は鉢物のセリ日でしょ?車で帰らなくていいの?」
『明日は臨時休業にしようと思ってるんだよ。最近、休めてなかったでしょ?怒涛の3月も終わった事だし、明日は休みにするよ。』
「えっ!?!?」
休みだなんて予想外で、困ってしまう。
だって休みならデートに誘いづらい。
仕事だったら終わってからの夜、少しの時間だけでもデートに誘えたのに1日休みなら、きっと何か予定があるのだろう。
折角決心した決意がガタガタと崩れ始め、とことんツていないと涙が馴染む。
地面ばかり見て家路に向かっていると、優しい彼の声が耳に響く。
『、、突然な休みは嫌だった?本当は千佳の都合のいい休みがいいかなっては思ったんだけど、、丁度明日は千佳の誕生日だし。社会人になって誕生日に休みの日なんてなかったから良かれと思ったんだけど、、。』
「、、、。」
誕生日に一日中一緒に過ごしてくれる恋人もいないのに、休みをもらったってちっとも嬉しくない。
寧ろ仕事の方が長い時間、彼と一緒にいれるのに、、、。
心の中でそんな事を思ったが、言える訳もなくて黙り込んでしまう。