約束のエンゲージリング


黙り込んでいても彼を困らせるだけだと思い、仕方なく顔を上げる。





「、、ううん。最近休みなかったから嬉しいよ。でも特に予定とかないから全然仕事でも、、、。」



彼の方を見ながら苦笑いすると、彼があからさまにホッとした表情を浮かべた。

そして小さく呟いた。











『、、良かった。』


「え、、?良かったって、、何で、、?」







小さな呟きも逃さなかった私は、その小さな呟きに問いかけた。


すると私の大好きな優しい顔で腰を屈め、私と目線を合わせた。







『折角の休みだから、、明日どこか出かけようか?千佳の誕生日プレゼントでも買いに。いつもは店閉めてからしかプレゼント見に行けないけど、1日休みならゆっくり店も回れるしね!小さな店だからボーナスとかもあげられないからさ?欲しいもの、どんなものでも買ってあげるよ?』

「えっ、、!?!?」












彼の〝妹〟というポジションの特権で毎年、彼は私に誕生日プレゼントをくれる。

物心がつく前からずっとだ。
つまり生まれてから毎年。




年齢が上がる毎に品物も高価なものになっていって正直、申し訳ない。

彼女でも恋人でも本当の妹でもないのに、毎年欠かさずプレゼントをくれる彼。


< 31 / 284 >

この作品をシェア

pagetop