約束のエンゲージリング
黙り込んでいても彼を困らせるだけだと思い、仕方なく顔を上げる。
「、、ううん。最近休みなかったから嬉しいよ。でも特に予定とかないから全然仕事でも、、、。」
彼の方を見ながら苦笑いすると、彼があからさまにホッとした表情を浮かべた。
そして小さく呟いた。
『、、良かった。』
「え、、?良かったって、、何で、、?」
小さな呟きも逃さなかった私は、その小さな呟きに問いかけた。
すると私の大好きな優しい顔で腰を屈め、私と目線を合わせた。
『折角の休みだから、、明日どこか出かけようか?千佳の誕生日プレゼントでも買いに。いつもは店閉めてからしかプレゼント見に行けないけど、1日休みならゆっくり店も回れるしね!小さな店だからボーナスとかもあげられないからさ?欲しいもの、どんなものでも買ってあげるよ?』
「えっ、、!?!?」
彼の〝妹〟というポジションの特権で毎年、彼は私に誕生日プレゼントをくれる。
物心がつく前からずっとだ。
つまり生まれてから毎年。
年齢が上がる毎に品物も高価なものになっていって正直、申し訳ない。
彼女でも恋人でも本当の妹でもないのに、毎年欠かさずプレゼントをくれる彼。